マイルドドラッグについて

スーパーの食料品売り場で売られているものをみると、小麦粉などの穀物からつくられているものが、非常に多いと思います。

 

カップ麺などの麺類、パン、お菓子類はもちろんですが、冷凍食品なども小麦粉を原材料にして加工した食材がいっぱいです。

 

小麦粉やお米などの穀物は、保存性がよく、加工もしやすいので、我々人類の食料として、古くから活用されてきました。狩猟していた人類は、農耕によって定住し、社会をつくり、知識を蓄えて、現代の文明社会を築きあげたのですから、穀物類は人類進化に大きな役割を果たした食材といえます。

 

しかし人類の役にたってきたのは確かにそうなのですが、昨今では糖質制限という言葉が生まれ、穀物のマイナス面について警鐘を鳴らす医学者が増えてきて、少し悪者扱いされるようになりました。

 

穀物は糖質となり、我々の活動のためのエネルギー源となるのは確かですが、反面いろいろと体に良くないことを引き起こす原因ともなっているようです。例えば肥満や糖尿病などがその代表例でしょう。そうした不健康な状態になっている人は、例外なく炭水化物や砂糖などの糖質を摂取しすぎています。

 

しかし、どうして病気になるほど栄養素を摂りすぎてしまうのか。それは糖質を得ることによる血糖値の上昇が、脳に快楽を与えるからだといわれています。

 

人間の脳、動物の脳には、報酬回路があります。我々は、常に熱を持ち、活動することで、エネルギーをどんどん消費しています。消費されるエネルギーは外から取り込まなければいけません。それが食べ物です。食べるのを忘れるとエネルギーが枯渇してしまいますので、我々の頭の中には、お腹がすいたら不快になり、食べ物を食べたら心地よくなるという、食物を得るための行動の動機になる脳の回路があります。これが報酬回路です。

 

ところがこの報酬回路は、困ったことにリミッターというものがありません。食べるのはここでストップ、これ以上食べたら太るよ、と脳が指示を出してくれたらいいのですが、美味しいものはどんどん食べてしまうし、お腹いっぱいでも甘いデザートを別腹で食べてしまいます。食物を食べる快楽に全面的に浸ってしまうと肥満にまっしぐらです。

 

なぜリミッターがないかというと、生き物が安定して食物を得られる、という前提で脳や体の仕組みがつくられていないからです。食べれるときには、限界ぎりぎりまで食べておく、もし次に食べれなかったときのためにエネルギーを蓄える、というコンセプトで設計されているので、リミッターがないのです。

 

人間の脳は「爬虫類脳」「哺乳類脳」「人間脳」と呼ばれる3層に分けられます。「爬虫類脳」は魚類や爬虫類と共通の一番原始的な脳で、脳の部位では脳幹や小脳など、脳の奥部や中枢神経に近い部分です。食物を得ることの快、不快はこの爬虫類脳にあるので、それを制御するためには人間脳を使わなければいけないということでしょう。

 

私のブログでは、禁煙や禁酒といったことについて考察した記事をいくつか載せていますが、炭水化物、糖質というのも、同じように依存してしまう、健康を損なうものであると思います。糖質のことをマイルドドラッグという人もいます。依存性があり、摂りすぎると体によくないからです。