自尊心が傷ついているときにの心の落とし穴

先日、残念なことがありました。

 

ある日、ブログの運営会社より、私が無断で他人の肖像権を侵害しているので、画像を削除するように、との連絡がありました。

 

そのブログは、私が本ブログとは別に作成している写真関係のブログです。私は写真を撮るのを趣味のひとつにしていて、そのブログでは私が撮った写真や、カメラやレンズ、アート等についていろいろ記事を作成しています。

 

運営会社よりクレームを受けた記事は、私が昨年度撮影した女性のポートレートに関する記事です。ブログに掲載することについては、撮影時にご本人に許可をもらっています。

 

正直混乱しました。どういうことだろうかと、そのモデルさんと連絡で使っているインスタのDMを見ると、次のような連絡が入っていました。

 

3日前「画像使用は事前に連絡しなくていいですが、画像を転載する場合でも後から連絡ください」
2日前「返事ください」
1日前「無視しないでください!」

 

なんだか怖くなったのですが、なんとなく理由が想像できました。DMに私が反応しないのを悪意に受け止めて、管理会社にクレームを入れられたのでしょう。

 

しかし、よくわかりません。確かにその記事について写真をのせることは、事後にも連絡はしていません。でも別の記事で掲載した画像です。わざわざ連絡するほどではないでしょう。

 

私は何人も撮影していますが、ほとんどの人はブログ掲載に関してご自由にお使いください、という人ばかりです。いちいち連絡するという習慣もありません。

 

まあDMに返事していれば、運営会社に削除依頼の連絡もされなかったと思います。虫の居所が悪かったのか、DMに私の返信がなかったので、たぶん自尊心が傷ついたのでしょう

 

ブログの運営会社からは、削除しない場合は公開を停止するとまで脅かされたので、なんでそこまで追い込まれるの、と理不尽さを感じ、なんだか、その人のことが怖くなりました。撮影しているときは上機嫌だったし、写真を喜んでもらっていたのに、こんな些細なことでキレて、ブログ運営会社にまでクレームを入れるとは。なんだか常軌を逸しているように思えました。

 

せっかく気に入っていた記事と写真ですが、そのモデルさんが神経質なことがわかりましたので、二度とこういうことが起こらないように、そのモデルさんの画像をつかった記事はすべて削除しました。またパソコンの中のデータも圧縮して、封印をしました。今後見返したりすることもないでしょう。そして二度と撮影依頼をすることもないと思います。

 

と、そのように解決したのはよいのですが、数日たってから、少し頭が冷えてきました。なぜ短絡的な行動をとられたのか考えていると、自分自身も同じような行動をしてしまった出来事を思い出しました。


数年前のコロナ以前の話です。

 

その頃、私には5年以上、あるウイスキーバーに通っていました。ウイスキーを飲みながら、バーテンダーと雑談をする小さなお店です。週に一二度、会社帰りに寄って、二時間ほど過ごしてから帰宅していました。シングルモルトのボトルを、毎月2本は入れていたので、間違いなく私はそこの常連の一人でした。


ある日いつものように会社帰りにそのバーに行くと、バイトの女の子が一人しかいなくて、店長が不在でした。バイトの女の子は、先に来ていた一人の客と話し込んでいました。その客は店のオーナーの知人であり弁護士です。

 

私が席に着くとオンザロックはつくってくれましたが、すぐにその客のほうに戻ってしまいました。

 

少し残念でしたが、バーで飲むとそんなことはよくあります。まあ、仕方がないなあ、と思いながら私は寂しさを感じながらちびちびと一人で飲んでいました。

 

実はそのバイトの子とは結構親しくなっていて、食事をおごったり、写真を撮ってあげたりしてあげていたので、余計に寂しく感じていました。

 

しばらくしてから、店長が出勤してきました。これで孤独から解放されると思いきや、店長もバイトの子もその客にべったりで、私は放置されてしまいました。

 

盛り上がっている三人と、一人で飲んでいる私という状況です。

 

いちおう私はそこに通う常連客です。その弁護士の客よりはお店にお金を使ってます。紳士的な態度を通し、セクハラめいた発言やめんどくさい話をしたりしません。なので、正直その状況にとても不愉快になりました。そして会計をすませ店を出ました。

 

それから、二度とその店に行くことはありませんでした。後から聞いたところによると、店長はオーナーからクビをいわれ、店もコロナの補償があった間はありましたが、終わった頃に閉店してしまったようです。


その店には馴染みも多かったので、そこで仲良くなった人たちとは縁が切れてしまいました。

 

すごく短絡的ではありましたが、実はその当時、私は長年飼っていた愛猫が亡くなって、ペットロスで苦しんでいました。かなり鬱っぽくなっていました。バーで気分転換しようと思ったのに、愛想のない接客をされて、余計に傷ついてしまったのです。


後から思い返せば、通っている間、適当な接客をされたことは一度もありませんでした。しかし、ほんの小さな接客のミスと、私のペットロスによる心痛が重なったので、行きつけの店に二度と行くことはなくなったのですね。

 

ここ数日、もしかしたらこの私の経験と、モデルさんのクレームには共通点があるのかもしれないと、考えていました。

 

共通点とは自尊心が傷つけられることです。


これは私の勝手な想像なのですが、モデルさんも何か嫌な出来事があったのかもしれません。そこで、ご自分について書かれた私のブログ記事を読み直して、元気を出そうとしたところ、自分の知らない自分の画像がのった記事を見つけ、私に連絡したけど返事がない。自己評価の低い気分のときにそんなことをされたので、怒りや悲しみが刺激され、クレームという行動にでたのではないかと。

 

そういうことを想定して、よく話し合って丁寧に説明すれば、誤解を解いてもらい機嫌をよくしてもらう、ということもできたかもしれません。バーの件も、接客の失敗は水に流し、また通うこともできたかもしれません。

 

我々は自分以外の人の心は理解できません。その人の行動によって、自分への好意や悪意、無関心さを推察するしかありません。でもその行動が自分に対し不快さや不利益を与えるものであるからといって、その人が悪意を持っているとは限らないのです。一時的な自分の感情から、時間をかけてつくってきた信頼関係を壊すのは、よいことではないでしょう。

 

人は自尊心が傷ついているとき、他人の行動が悪意に思えるときがあります。それは心の落とし穴のようなものではないかと思います。普段なら気にせず忘れることでも、怒りや落ち込みなという感情にとらわれてしまうのです。心の狭い人間なのです。

 

後日追記:以上のような結論を出していたのですが、しばらくたって、いろいろ思い返してみると、最初から神経質なところがあった相手だったことを思い出しました。自分が違和感を感じたら、その感覚を理性で無視しないことが必要でした。自分と他人は感じ方、考え方、価値観が異なることを忘れないようにしなければいけません。