断酒時に最も困ったのは眠気

断酒してから困ったことが一つだけあります。それは眠気がよくおこるようになったことです。

 

断酒前と比べて、やたらと眠気に悩まされるようになりました。具体的には、食事後にやたらと眠くなり、意識を失いそうになるのです。

 

もちろん仕事中には寝れないので、コーヒーなどカフェインを飲み、眠気を一生懸命我慢したり、仮眠をとったりしましたが、やっぱり眠くなります。ついウトウトしてしまったときに無理やり目を覚ますと、頭が痛くなったりもしました。

 

このやたら眠いという症状が、ほぼ毎日あるので、いろいろと調べました。でも、加齢によるものなのか、血糖値によるものなのか、よくいわれる睡眠負債というやつなのか、よくわかりません。食事を変えたり、スマートデバイスをつかって睡眠を記録したり、専門書で調べたりしましたが、さっぱり原因がわかりませんでした。

 

でも今は、素人考えではあるのですが、長年の飲酒による影響だったのではないかと思っています。

 

眠気に悩みはじめたとき。眠くなる理由として最初に疑ったのは、血糖値の変動による眠さではないかということでした。

 

健康な人は、糖をエネルギーに変えるインスリンの働きによって、血糖値の変動はほぼ一定に保たれています。しかし、糖の過剰摂取が起こり、インスリンの働きが追い付かないと、糖を細胞に取り込めなくなり、高血糖状態になります。高血糖になると、インスリンが大量に分泌されて低血糖になり、食後に強い眠気や倦怠感を感じるという仕組みです。

 

これを防ぐためには、食事の糖分を減らしたり、野菜を先に食べて糖の吸収を緩やかにすればよい、ということなのですが、私は昼食の炭水化物は少なめに、野菜や魚もしっかり食べていますので、ちょっと違うのではないかと思いました。健康診断での血糖値もそう高くありませんし。

 

次に着目したのはコルチゾールというホルモンです。コルチゾールは眠気のホルモンではなく覚醒のホルモンです。生命の危機などのストレスを感じる時、人は目が覚めます。それはコルチゾールの働きといわれています。悩みごとが多くて、夜眠れないのはコルチゾールが原因といわれています。コルチゾールの分泌が多いと、不眠症になります。

 

夜にコルチゾール量が減らなければ眠れません。ストレスが多いと、コルチゾールが増え、コレチゾールを出す副腎に負担がかかります。酷使された副腎からコルチゾールが出にくくなると困ったことになります。インスリンが出すぎて低血糖になったら、コレチゾールが出て血糖値のバランスをとる仕組みですが、副腎が疲労していると正常に分泌されず、夜の睡眠不足も影響して眠くなってしまうという仕組みです。


でも、これもちょっと違うかなあと思いました。どちらかというと断酒をはじめた頃は、仕事のストレスが減っていました。アルコールをやめたことで、イライラするという可能性も考えましたが、別に飲みたくなるわけでもないので、ストレスとは異なると思います。


自分の中でたぶんこれじゃないかと疑っているのはオレキシンです。オレキシンは覚醒と摂食行動を起こす脳内物質です。空腹になるとオレキシンが分泌されて、眠れなくなり、ごはんを探す行動に出ます。満腹になるとオレキシンが減って、眠たくなるそうです。その仕組みは睡眠薬に応用されていて、オレキシン受容体拮抗薬が理想的な睡眠導入薬になっています。

 

このオレキシンの分泌機能に、アルコール摂取が影響するのではないかと思います。アルコールを飲むと、ごはんを食べる量も減りますし、眠くなります。つまり睡眠導入薬と同じように、オレキシンを減らしているからではないでしょうか。アルコールを飲んでグーグー寝ちゃう人は、オレキシンが減っているのでよく眠るのでは。

 

そして長年の飲酒習慣は、このオレキシンを分泌させる機能を邪魔し続けることになります。傷んだオレキシンの分泌機能は、断酒をしても正常にオレキシンが出るようにはなっていないので、やたらと眠くなってしまう。もちろん血糖値やインシュリンも影響しているかもしれません。

 

断酒してから、オレキシンの機能が回復するのに、かなりの日数がかかるのではないかと思います。私の経験によると、断酒後2年くらいたつと、激しい眠気が次第になくなってきたので、機能が回復したのではないかと思うのです。

 

アルコールはよく眠れるから、と寝酒を飲むのは、脳内の働きを損なっていますので、アルコールによる睡眠コントロールはしないほうがよさそうですね。

 

注)本記事はあくまでも私自信の経験による主観です。間違いがあるかもしれませんので、詳しい情報が知りたい方は、論文や医学専門家の書いた本をお読みください。

 

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