目力(めぢから)について

目力(めぢから)を辞書でひくと、「目の表情や視線が他人に与える印象。特に、その人の意志や内面の強さなどが現れているように感じさせる目の表情。視線自体から感じる圧力・圧迫感。」と書かれてありました。

 

私は猫を飼っています。飼い猫は、何かをしてほしい時に、飼い主の目をまっすぐに見ます。お腹がすいている時や甘えたい時、眼をまっすぐ覗き込んで、鳴き声で要求を訴えるのです。あの大きな瞳に見つめられると、もう可愛くて可愛くて、本能レベルで逆らえません。そういう時、猫にも目力というものがあるのだなと思います。猫の下僕とは、そうやって調教されていくのです。

 

瞳というものが、人の心に与える影響は不思議です。美人やイケメンに見つめられるとドキドキしたり、あどけない子供に母性本能や保護したいという気持ちを感じたり、また、悪い方では、気持ち悪いと思ったり、怖いと思ったり、怒りを感じたり、イライラする瞳もあります。

 

その心理的影響をデザインに応用しているものがあります。車のヘッドライトはその代表例です。高速道路の追い越し車線で、スピードを出して近づいてきた後ろの車を、バックミラーで見て、思わず道を譲ってしまうことがありますね。猛禽類や肉食獣のような造形のヘッドライトで、少し怖れを感じるからです。それとは逆に愛らしく可愛いらしさを感じさせる大人しい印象のヘッドライトもあります。

 

瞳の形や色彩、輝きによる心理的な効果は、あらためて考えてみると、興味深いです。

 

少し瞳について考えてみました。

 

魅力的な瞳として、まず思いつくのは美人やイケメンのこと。そういわれる芸能人は、必ず魅力的な瞳を持っています。

 

もう少し詳しく分析すると、顔の大きさに対しで目が大きく開いていて、黒目が大きくて、白目部分が赤くなく、瞼も腫れぼったくなくて、瞳によく光が入ってキラキラ反射している目といえるでしょうか。睫毛も長い方が良いですね。一言でいうと輝きを持った目ではないでしょうか。

 

それに対して、ブスやブ男といわれる人の瞳は、具体的に言うと、光があまり反射しないような奥まった眼、濁ったような眼、三白眼などの黒い部分が小さい目、瞼が腫れぼったくて瞳に光が入らない目、眼瞼下垂などで瞳に瞼が重なっている目、睫毛が少ない目などですかね。輝きを感じられない瞳ですね。それらは見る人の心を、どこかしら負の方向に働かします。

 

魅力的に思えるか、そうでないかが、瞳の形によって違うのです。もちろん瞳だけではなく、他の身体的部位の影響もありますが、体の中で瞳の役割が大きいというのは確かです。

 

漫画における瞳が大きくて、キラキラしているのは、その効果を記号化しているといえるでしょう。

 

私はあいにく魅力的な瞳の所有者ではありませんので、生まれつきに綺麗な瞳を持っていて、美男美女といわれる人達のことを羨ましく思います。思春期の頃は、本人の性格などは関係なく、顔面の構成部位が、どういう形をしているかによって、異性からの評価が変わることに、理不尽さを感じたものでした。

 

自分の瞳が綺麗か、綺麗でないか、それは生まれながらの容姿の問題で、運命のようなものです。瞳の綺麗な人は、コンプレックスがないので、相手の眼をしっかりと見ることができますし、瞳に自信のない人は、相手の視線を避ける癖がついてしまいます。

 

そして、本人の人格形成にも何かしら影響を与えます。子供のころから、相手に好かれ、容姿を肯定されて育った人は、素直で人を信用する性格になり、そうでなかった人は、相手に好かれない、容姿じゃないところで努力しようとする人間になったりします。

 

人生の途中で、それが変わる人もいます。ひどい近視の眼鏡をかけていた人がコンタクトにした場合であるとか、整形手術によって、魅力的な目手に入れるとか、太っていたが痩せた、という場合などで、印象が大きく変わった場合です。

 

整形外科のうち、瞳を綺麗にするのなんて、ものすごく簡単な手術ですし、それくらいのことで、人の生きる自信に大きな影響を与えるのですから、特に若い女性で、自分の瞳の形が嫌いな人は手術をしたらいいと私は思います。男はちょっと目つきの悪いくらいのほうが、よい場合もありますので、あまり気にしなくていいのかもしれませんね。

 

 

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