薬を全面的に信用してはならない

薬に関することわざに以下のようなものがあります。

 

毒薬変じて薬となる
薬も過ぎれば毒となる
薬ひとを殺さず薬師ひとを殺す
毒にも薬にもならぬ
薬より養生

 

わかっているつもりでしたが、去年続けて失敗をしてしまいました。それは、「ナファゾリン塩酸塩」という血管収縮成分の入った薬です。

 

まず、点鼻薬で失敗しました。

 

私は毎年、冬の終わりと春に向けて鼻炎になります。杉花粉とヒノキ花粉、季節の変わり目の気温や気圧の変化、アレルギー体質や自律神経に影響しているのが原因だと思います。

 

鼻炎の症状は、鼻水や鼻づまりです。呼吸がしにくくつらいです。酸素不足で肩こりや頭痛の原因にもなります。就寝中に口呼吸になり、朝起きると口の中は乾燥しています。口呼吸は虫歯や歯槽膿漏の原因になるともいわれています。とにかくこの時期は、気分的にすっきりしません。

 

昨年も2月に入ってから、鼻の調子が悪くなってきました。

 

アレルギーの薬を買おうと、薬局に行くと、鼻に噴射するタイプの鼻炎薬があったので、試しに買ってみることにしました。家に帰ってから鼻につっこんで噴射すると、あら不思議。苦しかった鼻づまりが、すっきりと解消して、鼻呼吸ができるようになりました。これはすごいなあ。こんないいものがあったのか、と嬉しくなりました。

 

でも残念なことに、効果が持続するのは薬をいれてから数時間だけ。4~5時間たつと、また鼻がつまりはじめます。そして点鼻薬を入れると、また鼻がすっきりするのです。

 

薬の説明書を読むと、「使い過ぎは良くありません。一日6回までにしてください。長期間使い続けると効果がでなくなることがあります。」というようなことが書かれていました。なるほど、一日6回までか。では使い過ぎないようにしようと決めて、朝起きた時と、お昼、夕方、寝る前と一日4回だけ点鼻薬を使うことにしました。

 

点鼻薬をつかうと呼吸が楽になり、アレルギーの薬を飲まなくても楽に過ごせます。いいものを見つけたと思っていたのですが、今年は例年と違って鼻づまりになったときの症状がとても重いと感じるようになりました。薬の効果がきれて鼻がつまったときは、もう全く鼻呼吸できないくらい鼻がつまるのです。それで、ますます点鼻薬を手放せなくなってきました。

 

注意書きには長期間使うことがダメと書かれていましたが、一日の使用回数を最小限にして、薬の効き目があるうちは使っていてもいいだろう、と自分勝手に解釈して、結局5月に入るくらいまで、二か月くらい毎日使い続けていました。しかしよくなるどころか、悪化しているように思えました。

 

花粉がなくなっても鼻づまりがなくならないし、日中にやたら眠気がするようになったりしました。午前中と午後の昼食後に、やたら眠くなり、我慢するためにコーヒーなどを飲んでましたが、頭が痛くなったりしました。糖質が原因か、野菜が不足しているのか、とアレルギーによい食事を心がけましたが、効果がありませんでした。

 

 

もしかして、この点鼻薬が原因なのでは、と思いたって、ネットでいろいろ調べてみました。すると出るわ出るわ。点鼻薬の危険性の情報がたくさんありました。薬剤性鼻炎という症状もあるようです。

 

鼻腔は、空気を肺へ取り入れるための安全フィルターです。体内に空気中の異物を入れないようにしなくてはいけません。また匂いを感じるセンサーでもあります。空気中の匂い成分をかぎ分ける繊細な感覚器官が鼻の中にあります。

 

鼻の中の血管が太くなって、空気を取り入れる口が狭くなるのも、鼻腔内を洗い流すウォッシャー液の鼻水が出るのも、病気ではなく、鼻が適切に機能するための人体の仕組みなのです。

 

鼻腔内の血管は太くなったり細くなったりを、片側交代で繰り返しているそうです。片側の鼻がつまるのは、そういう仕組みになっているから。血管が太くなるのは、鼻腔内の血液の循環を活発にする働きのためもあります。

 

私が使っていた点鼻薬はナファゾリン塩基酸が入っている点鼻薬です。鼻の血管を収縮させる作用があり、鼻腔内の炎症を緩和させる働きがあります。

 

点鼻薬は鼻腔内のバランスを崩して、無理やりに鼻づまりを解消する薬物です。しかし不自然に血管を収縮させるので、その反動から血管が太くなるのです。そして薬によって鼻腔内の血管の膨張を、常に押さえつけると、その反動で血管が膨張するようになり、戻らなくなるそうです。それが薬剤で鼻炎を起こす仕組みです。

 

鼻がつまるのは点鼻薬のせいかもと気づいて、点鼻薬を使うのをやめると、翌日ひどい症状になりましたが、数日でだんだんと鼻づまりはなくなりました。悩んでいた異常な眠気もなくなりました。

 

鼻づまりに効果があるという薬でしたが、実は鼻づまりを作り出す原因にもなっていたのですね。原因を作り出している薬を、鼻づまりがなくなるので、なんてありがたい薬なんだと感謝していたわけです。

 

ああ、これってタバコやアルコールと同じなんだなあ、と思い当たりました。せっかくソフトドラッグの仕組みに気づいて、止めることができたのに、また同じようなドラッグにはまってしまっていた、自分の馬鹿さに呆れました。

 

次に目薬で失敗しました。

 

私はコンタクトレンズをしているし、花粉アレルギーなどもあるので、眼に違和感を覚えることが多く、目薬をよく使います。

 

目薬がきれたので、薬局に行って、目の充血に効く!と書いてある目薬を買いました。充血している眼に差すと、すっきりして、白くなるやつです。目に入れるとすっきりとして気持ちいいので、常用していました。

 

朝起きて充血しているときなどに、使っていたのですが、毎日使っているうちになんだか、目の充血がひどくなったような気がしてきました。なんとなく嫌な予感がして、ネットで使用している目薬の成分表を調べてみました。成分表や箱を捨ててもネットで調べられるので便利です。

 

そうすると、「ナファゾリン塩酸塩」が成分に含まれていました。血管を収縮させる効用があります。ああ、これは点鼻薬でひどい目にあった薬剤と同じ成分だ!とそのとき気が付きました。

  

血管を無理に収縮させる薬用は長期間使うと、反動がきて症状が重くなるという仕組み。便利なものだったら、長期間使ってしまうし、症状がひどくなるものを薬局で売っているなんて誰も思わないでしょう。なんでこんな薬が使われているのか不思議です。

 

例えば結婚式の写真などで、特別な日にどうしても目の充血をとりたいときに使うのならオッケーなんですが、とにかく毎日使うのはダメな薬です。

 

目薬は古くなるとよくないので、買った目薬は捨てました。今後必要なときに買って、使ったら廃棄するようにします。

 

 

薬はいろんな効果がありますが、その利便性がどういう仕組みか、ネットで検索すると情報が得られます。「長期間使用すると効かないようになる」と書かれていますが、新たな症状の原因となるものもあるのです。それを副作用といいますが、言葉というものは曖昧に加工と思えばいくらでも誤魔化せるものです。

 

タバコも「依存性がある」と書かれていますが、喫煙者は誰もその本当の意味をわかっていません。タバコで気分がよくなりますが、それはタバコが作りだす欠乏感が、タバコによって満たされるだけでそもそも錯覚です。

 

お金を儲けようと人の錯覚を利用する人たちには気を付けましょう。

 

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