断酒のはじまり

禁煙を始めて、煙草を吸いたいという気持がもうほとんど無くなりました。禁煙できたのだから、次は禁酒にチャレンジしてみるか、と思って、令和元年から断酒をはじめました。

 

私は大学時代からお酒を飲むようになり、中年になったらほぼ毎日飲む立派な大酒飲みになっていました。毎晩、ウイスキーのロックなら200ml、ワインなら一本程度、ビールの350ml缶に換算すると5本くらいのアルコールを飲んでいました。

 

ちょっと飲み過ぎと自分でも思っていましたが、お酒を飲まない日をなかなかつくれなくて、休肝日は体調が悪い日くらいでした。週末はとくに量が増えていて、深夜の2時~3時まで飲んで、翌日の昼頃までは車に乗れませんでした。そんな状態が何年も続いていたので、もしかしたら自分はアルコール依存症なのかも、と内心恐れていました。

 

お酒をやめたほうがいいかも、やめようかな、と強く思い始めたのはここ数年です。その理由を書きます。

 

 

1.アルコールが影響する頭脳機能低下

 

思考力や記憶力といった頭脳の機能が、若い時よりも低下してきました。加齢とともに脳萎縮が進んでいるのでしょう。お酒はそれをさらに加速させます。酔っている時間があることによって、一日のうちの頭を使う時間が減少し、知性の低下を招いている気がしました。

 

仕事のパフォーマンスも、明らかに若い時より低下しています。会社員は有難いことに、それがバレて給料が下がるという事はほとんどありません。しかし部下や後輩たちの手前、それなりの仕事をしないと、敬意が軽蔑に変わってしまいます。ここ数年そういう危機感を持つようになりました。

 

加齢は仕方ありませんが、アルコールをやめれば、脳機能の低下も減速させれるでしょう。若い時の集中力とやる気、攻撃力を取り戻したいと思いました。

 

 

2.アルコールが影響する筋力と内臓脂肪

 

肉体も年をとると確実に衰えてきています。運動不足もあり、駅の階段でよろけてしまったり、運転中にフクラハギがつったり、ぎっくり腰になったりと、筋肉系のトラブルが増えてきました。

 

アルコールの分解には筋肉を使いますので、筋肉系のトラブルには、アルコールの影響があるような気がしました。

 

また内臓脂肪もここ数年増え続けています。アルコールを飲む人が太りやすいのは、お酒と一緒に何かを食べてしまうからだ、というのが通説になっていますが、アルコールを分解する課程で、体に脂肪がつきやすくなる状態になっているそうです。肝臓も知らないうちに脂肪肝になっているかもしれません。肝硬変になると元に戻りません。

 

アルコールの処理能力、筋肉の再生能力などが、若い時より低下してきています。運動しないといけないのに、アルコールを夕方から飲むと、ランニングや筋トレもできません。

 

 

3.アルコールによって引き起こされる鬱

 

中年になって、気分が落ち込む時が増えてきました。鬱病とまではいきませんが、昔よりも心が弱くなってきている自覚があります。もっと逆境でも打たれ強かったのに、最近は心が折れやすく感じていました。

 

中高年の自殺率が高いのはアルコールが影響しているという統計もあります。精神的に安定するためには、アルコールを止めてみるのもよいのかもしれない、と考えました。

 

 

4.アルコールによって顔が老ける

 

自分が年をとったと一番感じるのは、自分の顔です。二日酔いのとき、鏡で見る自分の顔がだんだん疲れた老け顔になってきました。若い時よりも、アルコールの影響が顔に出るようになってきたのです。

 

昨年1ヶ月ほど、歯の治療のために酒をやめている時期がありましたが、顔のハリと色艶が良くなって、3歳くらいは若返ったのには驚きました。調べてみると、肝臓は肌を再生する機能も持っていて、22時から2時までの美容タイムに肝臓機能を酒の分解に使うと、肌の再生機能が低下するそうです。

 

見た目の老化防止に、断酒が効果的であるのは間違いありません。アンチエイジングのためには、断酒したほうがよいと思いました。

 

5.本当に幸せになるためには、アルコールは不要ではないかという疑問

 

禁煙したときに、どうして人は煙草に依存してしまうのか、いろいろ調べて人間の報酬回路に関して理解が深まりました。

 

人が快楽を感じるときは、快楽性の神経物質が脳内にあふれ、神経の受容体に快楽信号を与えている状態です。空腹でご飯食べたり、気持ちのいい運動をしたり、肉体に良いことがあったりすると、そういう脳の神経の仕組みが働いてハッピーな気分になります。それを報酬回路といいます。

 

麻薬などのドラッグは、その回路を人工的に操作する薬物、つまり快楽信号を出すスイッチのようなものです。アルコールも、同じように機能するドラッグです。アルコールという液体に快楽物質は入っていません。報酬回路に作用するだけです。

 

アルコールは、気分がよくなる神経物質を不自然に出させるので、後で物質が不足してしまいます。二日酔いでしんどいのは、そういうことで、お金を借りて楽しいことをして、後で金欠になるようなものです。

 

人は生まれた以上は、幸せに生きるべきです。幸せというのは、つきつめると心地よさを継続させることでしょう。つまり報酬回路の快楽物質をいかに出して、その状態を持続するかっていうことにつきます。

 

アルコールは確かにいい気分になるための手軽な手段ですが、単なる化学物質による気持ちよさでしかありません。人の幸せは、化学反応による生理的な現象でいいのでしょうか。薬物を使って気分よくなることが、本当に自分だけの幸せといえるでしょうか?

 

せっかく生まれたのですから、自分独自のやり方を工夫したり試してみないと、なんだか人生もったいない気がします。いろんな美味しい料理が世の中にいっぱいあるのに、面倒だし、美味いからって毎日同じ味の料理ばかり食って人生終わるのは、つまらないでしょう。お酒はそれと同じです。死ぬまでの時間は限られています。貴重な時間を無為に過ごしてもいいのでしょうか。

 

6.アルコールは、合法的なドラッグ

 

ビールもワインもウイスキーも、いろいろ味は違うけど、根っこはアルコールというドラッグビジネスであると思うようになりました。

 

アルコールが大人のたしなみであるとか、リラックスできるとか、好感度の高いタレントを使ったCMを流したり、購買を刺激するような広告がいっぱいありますが、これって合法的なドラッグを消費者に売りつけるビジネスでしかないのでは?と思うようになりました。

 

昔、タバコのCMがそうでした。有名な俳優がかっこつけて煙草を吸っていました。みんな煙草は大人のたしなみと思っていました。しかし今では、タバコというのは依存症をひこおこすドラッグであるといわれています。アルコールも同じではないかと思うようになりました。

 

 

と、そのようなことを考えて断酒を始めました。

 

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