心理学者のアルフレッド・アドラーの本を何冊か読んでいます。アドラーはフロイトと一時期一緒に働いていて、フロイトのほうは世界的に有名になりましたが、アドラーはそこまでは知られていません。
日本では最近「嫌われる勇気」という本がベストセラーになって、注目されています。
アドラーは、幸せになるにはどうすればよいかを考えた人です。アドラーは、人は幸せになるのはとても簡単であるといいます。人は悩まなくていいことを悩み、憂えなくていいことを憂い、怒らなくていいことを怒り、悲しまなくていいことを悲しんでいる。それら人間を苦しめているのはその人間の感情であり、ライフスタイル(生き方や考え方)を変えればすぐに幸せになるよ、といっています。
例えば、与えられたものについて考えるのではなく、与えられたものをどう使うかを考えよ、というアドバイスがあります。これは私も人生の途中で気がついて、考え方を変えました。アドラーに共感する部分です。
自分の容姿や才能、能力などで人と比べて劣等感を感じるのではなく、与えられたものをどう使うか、を考えるべきであるということです。私は自分の中でバイクを例えにつかってます。
隣の金持ちの息子は、高い新品の高性能バイクを親から買ってもらって乗っています。こちらは必死にバイトして、やっと買った中古のボロバイク。隣の息子のバイクが、とにかく羨ましい。
でも、自分のバイクであちこちツーリングしているうちに、バイクにも愛着がわいてきます。そしてバイクを所有することが、自分の人生目的や喜びではないんだ、バイクで何処へ行って何をするかが、自分にとって大事なことなんだ、ということに気づくのです。
ボロバイクでトコトコ走って、途中調子が悪くなったり、修理したりしてるほうが、高級バイクを磨いて飾って、ちょっとしか乗らない人よりも何倍も楽しいじゃん。そういうふうに思うようになりました。
また、気分の問題と感情を区別することが大事ということもアドラーは言ってます。気分というのは肉体的なものを含めた心の働き、感情というのは心だけの働きです。今の自分の心がネガティブでマイナスの方向にあるとして、気分と感情どちらかをまず見分けることが必要です。
気分的なものは、例えば体調が悪いとか、ニコチンや酒といったドラッグからくるものなどがそうです。肉体と関係する問題なので、心だけでは解決できない問題です。美味しいものを食べたり、睡眠をしっかりとる、または森林浴をしたり、温泉に入ったり、体調を回復させ、身体の調子を正常にし、ドラッグへの依存をなくすということが気分を回復させるためには必要です。これも私が気にしているライフスタイルです。
新たに気づきもありました。アドラーにいわせると人間のマイナス感情で代表的なものは、不安、憂鬱、悲しみや怒り。不安というのは、これからの未来に対して心が考えて起こる感情であり、憂鬱というのは過去に対して考えることだから、瞑想して現在に心を集中させると、不安と憂鬱を心から無くすことができる、と書いてありました。
未来のことを考えてくよくよしても無駄だし、過去のことを考えて憂鬱になるのも無駄だということです。これは確かにそうですね。瞑想は無の境地に入ることかと思っていましたが、正しくは現在の自分に集中するという行為とのことのようです。
心(つまり頭脳)は、体が何かをしていても、まったく別のことを考えたり(未来や過去を考えたり)するのですが、瞑想行為は、自分の体の感覚と心を一致させようと集中することで、心を現在の自分に集中させ、不安と憂鬱を消すことが出来ます。
したがって瞑想は座禅を組むことよりも、スポーツをしたりダンスを踊ったり、現在の自分に集中することなのだと。それがストレス発散になるのだということです。私の場合だとバイクに乗ることかな。今の自分に集中しているので、瞑想状態だといえますね。
読んでいて、なるほど、といろいろ勉強になりました。私はよく憂鬱になりますが、だいたい過去を思いだしていますし、不安というものも感じます。確かに瞑想は心を穏やかにするいい方法であるな、とその説明を読んで思いました。
でもちょとだけアドラーの考えに対し、疑問を持つところがあります。過去を思い出して、くよくよするのも人間ですよね。過ぎたことを忘れて、いつもさっぱりしている人間よりも、失われた過去を引きずっている人間のほうが、人間らしいところもありますよと。
例えば、別れた恋人のことをすぐ忘れて、新しい恋にすぐに走る男。付き合っても、いつもニコニコ。別れてもニコニコ。悩まない、引きずらない、超ポジティブな男がいたとして、そういう男を魅力的に感じるかな?こいつはもしかして人間的な部分でどこか欠落している、冷たいヤツ、って思うのではないかなと。アドラー流だとそれが幸せな生き方のようですが。
まあ、まだアドラーの考えを正しく理解できていないと思うので、もっと本を読んでみるつもりです。